スペースマーケットは、「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンのもと、空きスペースを時間単位で貸し借りできるマーケットプレイス.を運営し、2014年の設立以来、市場の先駆者として成長し続けています。
スペースシェア市場での成長を加速させるため、M&Aと新規事業創出を両輪に事業を拡大しており、2021年のスペースモールをM&Aすることにより、オペレーションの質やスピードを高め、さらなる事業拡大と成長を可能にしています。
また、社内の新規事業コンペであるアイディア大会を通じて誕生した「Spacepad」をはじめとする新規事業は、社員の熱意と課題意識を起点に立ち上げられ、社内外のリソースを活用して成長を遂げています。
本記事では、スペースモールのM&A背景や統合戦略(PMI)に加え、新規事業の創出プロセス、人材育成の工夫、そして新規事業を成功に導く企業文化に迫り、スペースマーケットが描く未来の成長ストーリーをお届けします。
PDFファイル URL:http://strategy-campus.jp/topics/wp-content/uploads/2025/03/interview_spacemarket.pdf
株式会社スペースマーケット代表取締役社長 重松大輔氏
−− 本日はよろしくお願いいたします。スペースマーケットは、国内でスペースシェアのプラットフォームを展開され、2021年にはレンタルスペースの設計企画や運営代行事業を提供しているスペースモールをM&Aされたことも記憶に新しいですね。
お話をお伺いするのをとても楽しみにしていました。
どうぞよろしくお願いいたします。
−− まずはじめに、スペースマーケットでは、自社で立ち上げる事業と外部からM&Aし立ち上げる事業とでは、どのようにすみ分けられているのでしょうか。
スペースマーケットが自社で行う事業は、主に自社に蓄積されてきたノウハウやナレッジや強みを活かせる領域に広げています。
逆に、既存事業のノウハウやナレッジをかけ合わせて新たなシナジーを生み出していく中で、M&Aも検討していました。
−− となると、M&Aしたスペースモールの事業領域は、スペースマーケットノウハウが少ない領域の領域であったのでしょうか。
シェアスペースの運用代行をしているスペースモールの事業領域は、「スペース利用体験」を生み出しているという点でノウハウを有していました。
−− 一方、スペースモールが展開しているシェアスペースを運営事業の知見やノウハウは限られている領域でした。
−− −− なるほど。シェアスペースの運営自体の知見・ノウハウは持たれておらず、M&Aを検討されてたんですね。
シェアスペースを運営されていく.中で、重要な業務はどのようなものがあるのでしょうか。
シェアスペースの運営で重要な業務は、「掃除」が大切になってきます。
掃除いただくスタッフの採用や手配、そしてゲストに掃除してもらう仕組み作りを作っていくことも難しいんです。
また、レンタルスペース市場の競争は良い意味で激化しているので、掃除のクオリティを高めて、貸しスペースをいつも清潔に保つことは、競合と比較した時の強い優位性にもなるんです。
スペースを綺麗に保つことは大切とお客さんからのフィードバックや口コミなどから頭では理解してはいたんですが、実際にスペースモールと進めていく中で、掃除の重要さやオペレーションを回すことの大変さを心底理解しました。
−− スペース運営事業では「掃除」が重要な業務になってくるんですね。
では、自社でスペースシェア事業を展開されていた中で、ホスト(ユーザー)でもあったのスペースモールのM&Aに至った背景を教えてください。
元々、スペースモールは、スペースマーケットにもスペースを掲載していただいていたホスト企業です。
自社でスペースシェア事業をやっていたからこそ、スペースモールをM&Aした方が、スペースマーケットの経営資産とスペースモールの運営ノウハウを組み合わせて継続的な発展を見込めると判断しM&Aに至りました。
なぜ、スペースモールかというと、スペースモールは顧客対応が良く、経営陣の目指す事業の方向性や考え方が、スペースマーケットの経営陣と合っていたからです。
また、スペースモールは、レンタルスペースの拡大スピードも速く、そのノウハウをスペースマーケットに取り込むことで相乗効果も生み、事業をより拡大していけると考えていました。
スペースシェア市場は、クオリティを維持し如何に早くマスを広げていくことが重要になる市場なので、M&Aは企業価値向上の有効な手段として検討しており、事業をよりスピーディに拡大していきたいと考えています。
−− M&Aの対象となる企業は多数あったかと思いますが、スペースモールを含めM&Aする企業はどのように検討されていかれたのでしょうか。
スペースマーケットのプラットフォーム内の取引していた企業を中心にM&Aを検討していました。
M&Aを本格的に検討する前からも業務の一環として、取引先の企業と定期的にコミュニケーションを取っていたので、M&Aを検討しはじめ、いきなり企業の経営陣に話を切り出したなどではないです。
スペースモールへM&Aの切り出したタイミングも、定期的にコミュニケーションを取っていた延長の良いタイミングで「事業をもっと深くしていきませんか。」と切り出しました。
−− 企業への口説き文句は経営者によって様々ですよね、私の知人は少し癖が強く、M&Aを持ち掛ける際の口説き文句として「血を交えたい」と伝える方もいます。
スペースモールとM&Aの話を進める中で、主な論点はどのようなものがありましたか。
当時を振り返ってみて、意外にもM&Aに至るまで大きな論点はなかったと思います。
スペースモールの経営者(小泉さん)は、経営者として企業の方向性として、売却も選択肢の一つとして検討されておられたので、M&Aの話を出した時も大きく驚かれるなどはなく、建設的に話を進められました。
今後、よりシナジーを生んでくためにも、株式形態が重要になると考え、グループ会社で一緒にやっていくという意思も込めて、ストックオプションも配布しました。
一般的にロックアップは、紳士協定のような意味合いが強いかと思いますが、スペースモールの代表である小泉さんはロックアップが既に解除されている今でも事業に奮闘いただいています。
起業家には色んなタイプの方がいて、小泉さんはM&A前からロックアップが外れた後も事業にコミットいただくと仰っていただいていたこともM&A先を決めるにたあたり、決め手と考えていた要素の一つとなっていました。
M&Aを検討するにあたり、多数の企業の経営者とお会いわせていただき、経営者の企業や事業に対する考え方は、人それぞれ違うんだなと改めて感じたことも、企業M&Aを経ての私の学びとしてもあります。
−− 交渉する上での論点は限られていたんですね。では、スペースモールのバリュエーションの算出やスペースシェア事業のカギとなる掃除のDD(デュー・デリジェンス)はどのようになされたのでしょうか。
DDに関しては、スペースマーケットでもスペースモールと同じ、スペースシェア事業に取り組んでいたので、勘所を抑えていたことが大きく、実際に事業を進めていないとわからないことや見逃してしまうことが多かったと思います。
あと、スペースマーケットのプラットフォーム上でも掃除のクオリティなどがデータ化されており、具体的な顧客のコメントも参考にDDを進めていました。
−− スペースマーケットで同じスペースシェア事業をやられていたことが、バリュエーションの算出やDDにも活きてきたんですね。
その通りで、同じ事業を自社でやっていたことはとても活きました。
M&Aを検討していた当時やスペースモールがグループ会社となり一緒に事業を推進している今でも、事業の重要な指標や要素を把握するには、実際に手を動かしてみることが大切だと感じています。
−− プラットフォーマーサイドから見てもスペース運営における休日のクレーム対応や掃除周りのオペレーションの大変さは理解していました
自社で事業を行っていたからこそ、他社と比較した際のスペースモールのオペレーション回りの品質の良さなども解像度が高く理解でき、企業を正確に評価できたと思います。
−− M&Aの難しい観点の一つとして、M&A後のPMIがあるかと思います。PMIの組織制度の観点では、どの程度スペースマーケットとスペースモールを統合しているのでしょうか。
M&A後もスペースマーケットとスペースモールで、一定の距離があった方が良いと考え、オフィスや給料体系、企業ミッションなども意図的に分けています。
セキュリティなどを担保した上で、両社の社員同士のコミュニケーションは自由にしていますが、会社から積極的にコミュニケーションが多く取れる場などは用意していません。
オフィスのスペースを土日・平日の夜も貸し出しているので、社員同士で一定コミュニケーションを取っていますが、両社の公式な交流イベントは10周年記念くらいです。
−− スペースモールのM&A前後で、企業間の業務やプラットフォーマー上の取り引きに違いはありましたか。
スペースモールのM&A前後で、両社の業務上の取り引きに大きな変化はあまりありませんでした。
スペースマーケットのプラットフォーム事業として、スペースモールと同業の顧客企業とのコンフリクトも、皆さんが気にされるポイントかと思います。
しかし、プラットフォーマーとして、スペースモールの競合企業を含め、自由競争を心がけています。
私たちはプラットフォームのより一層の拡大を目指しており、スペースモールを優遇することは中長期的にプラットフォームが機能しなくなると考えています。
一方、スペースモールを活用したスペースシェア事業を拡大するにあたり、プラットフォーム事業とカニバル可能性も高まっており、日々試行錯誤しているのが正直なところです。
−− 事業のカニバリは難しい論点ですね。逆に企業から出資も受けられている立場でもあるかと思いますが、出資を受ける前後で事業に変化はありましたか。
スペースマーケットで複数の大手企業からも出資いただいており、出資いただく前後で、会話する機会は増え、事業への関わりも増えました。
一方、スペースマーケットに出資いただいていない他の競合企業と取引しにくくなることもなく、出資いただくことによるデメリットもほとんど感じていないです。
一方、出資する側が大企業であると、大手企業内で出資していない企業との取引は、稟議が通りにくい場合もあるらしく、株を保有することで社内の動き方が変わってくると聞きくことはあります。
−− 事業の観点で、M&Aの前後ではどのような変化やシナジーがありましたか。
スペースマーケットのプラットフォーム事業では、スペースモールのM&Aによりホストの理解や課題の解像度が高まり、プラットフォームの品質が良くなっており、事業がより拡大しやすくなっています。
Spacepad*※1* も、スペースモールをM&Aし、オペレーションの課題を発見できたからこそ、立ち上げられた事業になります。
※ Spacepad:あらゆる施設の予約や管理をデジタル化し、煩雑な施設管理業務を簡易化するクラウド型予約管理システム。
また、スペースモールのサービスはアナログな部分も多く、スペースマーケットの開発の知見も活かし、生産性も高まっています。
事業とは別の財務の観点でも、上場会社のグループ会社ということもあり、スペースモールの借入も行いやすくなっています。
今後も、スペースモールとスペースマーケットが双方のリソースを活用し、事業を拡大していきたいと考えています。
−− 事業を拡大する上で与信は重要になってきますよね。また、スペースマーケットで自治体や大手企業との連携が増えてきていますが、スペースモールをM&Aしたことが起因しているのでしょうか。
スペースモールのM&Aにより、自治体や大手企業とのタッチポイントは増えてきています。
また、スペース運営事業を起点に法人開拓の提案の幅が増え、より円滑に行えるようになっています。
実際、地方へ赴き自治体とのやり取りが増える中で、レンタルスペースの鍵の管理や体育館、プールの紙での予約などアナログな部分が多いと身をもって実感し、特に地方の自治体からはDXの相談が多いです。
また、自治体の子育て悩み相談の予約システムなどにも予約システムは導入されてきており、場所以外の予約の需要も広がってきています。
−− 自治体はまだまだアナログな部分が多いですよね。大手企業との取り組みはいかがですか。
市場全体のトレンドとして、個人の小規模なパーティスペースの需要は成長が少し緩やかになってきていると思います。
一方、企業のワークスペースとしての利用が伸びており、企業などから20~30人が入れる中大型のスペースでの研修と飲みを合わせたスペース利用も増えてきています。
また、大手企業との取り組みですと、大手飲料メーカーが提供する飲料とスペースモールのスペースを活用したコラボイベントを開催するなど、大手飲料メーカーとのタイアップを企画しブランド認知も高めています。
消費財メーカー・飲料メーカーとしても、レンタルスペースを活用し潜在的な顧客とのタッチポイントを広げられるメリットもあり、レンタルスペースとブランド企業のタイアップ企画は増えてきています。
−− 大手企業とのコラボなども増えているんですね!法人営業に取り組まれ、得られた知見などはありますか。
大企業は競合企業の動きを気にしていながらも、新しい取り組みには事例が出てくるまでは慎重なことが、手触り感を持って理解できました。
その一つの例として、カラオケ事業を展開されている企業様で、コロナ禍以降からカラオケ事業が伸び悩んでいました。
そこで、スペースマーケットがその企業様に向けスペースの有効活用などを提案し、実際に取り組んでいただきました。
すると、同業種の箱ビジネスを展開されている他社からもスペース事業を教えて欲しいなどの依頼や提案すると聞き入れてくれる企業様が増え、スペースの有効活用に乗り出している企業が増えてきています。
−− 法人営業の組織はどのように立ち上げられたのでしょうか。
初めは法人営業未経験の既存の人員で提案を行っていましたが、中々上手くいかず、新たに経験者を採用し組織を編成することで軌道に乗ることができました。
−− 法人営業の組織に関して、プログリットの岡田さんも同じことを仰っておられ、プログリットでも新規事業の立ち上げ当初、既存の人員で行っていたが上手く立ち上がらず、経験者を採用すると直ぐに軌道に乗り出したとのこと。
−− スペースマーケットでは、新規事業が立ち上がっているかと思いますが、新規事業のタネはどのように生まれているのでしょうか。
スペースマーケットでは、過去に新規事業を考えるアイディア大会っていて、事業の柱の1つであるSpacepadは、現在Spacepadの責任者を務めている髙尾.がアイディア大会で起案されたアイディアです。
Spacepadの事業の元は、秋田県湯沢市からスペース活用に関する相談をいただいていましたことが始まりです。
アイディア大会で起案された時点で、お客様のニーズをすでに把握している状態で、横展開の確証性も高く、事業の立ち上げに至りました。
役員と起案者の直談判ではなく、アイディア大会としてやる意味として、役員だけでなく社員全員が見てるいる場で、新規事業のアイディアを判断し、合意形成していくことろにあると考えています。
社員全員に新規事業のストーリーをみてもらい社員からの理解も得られ、起案者も成功体験が得られると考えています。
−− 新規事業を進めるにあたり社員からの理解や応援は大事ですよね。新規事業が軌道に乗るまでにはどのような苦労がありましたか。
新規事業は結果出るまでに時間を要し、既存事業の人からすると何をやっているのかわかりづらく、孤立してしまうことが課題の一つとして挙げられます。
また、スペースマーケットにはないですが、一般的によく見られる悪いケースとして、役員陣が新規事業に対し、投資とリターンを数字で詰めることなどもあるかと思います。
どのような事業も立ち上がりは相当難しく、社内の理解が必要になります。
なので、役員陣と新規事業メンバーが定期的に1on1を行い、役員陣から社内へメッセージを出すなど、「会社にとって新規事業が必要であること」「立ち上げが如何に困難であるか」を社内全体で理解することが大切と考えています。
−− 役員陣が率先し新規事業をサポートされているんですね。新規事業としてSpacepadに対して追加で投資し、事業拡大を踏み切れた要因を教えてください。
起案者の髙尾さんが実際に秋田県湯沢市で公民館や体育館などを回り、現場のヒアリングや公式HPなども一緒に構築していくと、高齢者の方々もデジタルサービスを使えるようになってきました。
予約台帳など紙の利用率もだんだん低くなってきて、職員や市民の方からダイレクトに喜びの声を聞くと、新規事業チームのやる気も上がり、「秋田県の湯沢でできたら他の地域でもできる。」と考え、追加投資と事業拡大に踏み切りました。
−− スペースモールのM&A前にスペースマーケットで時間貸しのプラットフォーム事業を立ち上げた時は、どなたが新規事業を担当されていたのでしょうか。
先ほどのアイディア大会の話でも出てきたSpacepadの責任者をしている髙尾も初期から時間貸しプラットフォーム事業に携わっていました。
髙尾さんはスペースマーケットの立ち上げ初期にもおられて、事業の立ち上げが得意で好きなんです。
また、髙尾さんのスペースシェア事業の立ち上げの経験は、Spacepadの立ち上げにも活かされていると思います。
−− 企業の経営者として新規事業は、人材育成の面もあるとお考えでしょうか。
その通りで、新規事業は人材育成としても考えています。
新規事業を通じて、今まで見落としていた重要なプロセスや視点に気づいたり、実際に事業をやってみないと身に着かないスキルや能力は多いと考えています。
−− 新規事業でしか培われない能力はありますよね。では、新規事業の立ち上げに適している人材の特徴などどのようにお考えておられますでしょうか。
新規事業は、強いパッションを持ち、良い意味でクレイジーにやれる人でないと立ち上げられないと考えています。
外部から優秀な方を引き抜いてきたとしても、強いパッションや課題意識がないと社内の人から理解を得て、新規事業を推進していけないと思います。
また、新しい領域の新規事業はわからないことだらけですので、その都度勉強やアップデートが必要になってきます。
なので、今までに経験のない分野でも好奇心をもって取り組めることも新規事業を進める上で欠かせない要素の1つと考えています。
−− 新規事業にはパッションや好奇心を持った人材の配置は重要ですよね。
実際、Spacepadを立ち上げ自治体への提案を進め拡大していく際、社内に誰も自治体営業や自治体向けのサービスの知見を持っておらず、初めの半年から1年は特に難しく、収益が回る感じではなかったです。
しかし、髙尾さんを筆頭に自治体の方々へのヒアリングなどを通じて知識をアップデートし、自治体に合ったプロダクトを作成することで利用者も増え、予算をいただけるようになりました。
強いパッションを持つことや経験がない分野でも好奇心をもって取り組むことは、スタートアップの初期メンバーに向いている人の特徴としても同じことが言えると、様々な新規事業の立ち上げを通じて改めて感じています。
また、経営陣としては、そのような人材の好奇心をくすぶれるように「良質な事業アイディア・職場環境」を提供していくことを心がけています。
−− 個人のキャリアとして、会社のリソースを活用し新規事業を立ち上げるメリットはどののようなものがあるとお考えでしょうか。
月並みな回答になりますが、企業に蓄積されてきたノウハウや顧客との関係性、また様々な分野に長けた人がいるので、そのリソースの活用などの観点から自身で起業するよりも、0→1を早く立ち上げられることが、会社で新規事業を立ち上げる利点と考えています。
−− 新規事業の立ち上げで得られる能力や経験にはどのようなものがありますでしょうか。
新規事業の立ち上げでは、役員やメンバーを含めた社内の人材、時には外部の人も巻き込んで事業を進めていくため、既存事業では得られない事業を推進していく能力が得られると考えています。
言語化が難しいですが、新規事業を実際にやってみないと見落としてしまう重要な業務や視点に気づけるようになったり、通常の業務では身に着かないスキルや能力が多くあると思います。
また、キャリアステップとして、起業やスタートアップへの転職などを考えられている人にとって、新規事業の立ち上げは起業やスタートアップの働き方と似ているので良い経験になると考えています。
私はキャリアとして、新卒でNTT東日本とその後フォトクリエイトを経験し起業しました。
NTT東日本と比較し、事業環境が整っていないフォトクリエイトでの業務経験から身に付いたスキルや能力は、スペースマーケットの起業や事業拡大に大きく役立っています。
−− 新規事業の立ち上げには、パッションや課題意識を持っている人材が必要であるとのことですが、どのように採用されているのでしょうか。
パッションや課題意識を持っている人材の採用は本当に難しいです。
そのような人材は稀有な存在であり、中々出会いません。
出会ったとしてもすぐに採用に至るケースは稀です。
なので、強いパッションを持つ方と出会った際には、中長期的にコミュニケーションを取り続けることが大切と考えています。
−− なるほど。では、実際にSpacepadを立ち上げられた髙尾さんはどのように採用されたのでしょうか。
髙尾さんとは彼が大学4年の時に出会いました。
髙尾さんは学生時代からフリーペーパーの広告関連の事業をされておられ、新卒ではリクルートに入社されました。
髙尾さんが学生時代やリクルートで活躍されていた時からも、継続的にコミュニケーションを取っていて、髙尾さんが独立を検討されていた際、髙尾さんから声を掛けてもらいました。
−− TWOSTONE&Sonsの高原さんも採用に関して同じことを話しており、採用媒体などでパッションがある人は中々採用できず、良い人材に出会った際は継続的に「一緒に働かない。」などとコンタクトを取り続けることが大切と仰っていました。
−− スペースモールのM&Aの背景や新規事業の創出など学びが多いインタビューをありがとうございました。引き続きスペースマーケットのさらなる成長を応援させていただきます!
(写真左)スペースマーケット 重松 大輔氏、(写真右)ストラテジーキャンパス 中村 陽二氏
□ スペースマーケットとは
「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンのもと、スペースシェアの文化創造、拡大に取り組む企業です。2019年に東証マザーズ(現グロース市場)に上場。スペースを貸し借りするマーケットプレイス「スペースマーケット」には、全国37,000件以上のスペースが掲載されています。
また、あらゆる施設の予約管理をデジタル化し煩雑な施設管理業務を簡易化する、クラウド型公共施設予約管理システム「Spacepad」も提供しています。
会社名:株式会社スペースマーケット
所在地:東京都渋谷区神宮前6-25-14 JRE神宮前メディアスクエアビル2F
代表者:代表取締役社長 重松 大輔
証券コード:4487
設立日:2014年1月
事業内容:スペースシェアのマーケットプレイス「スペースマーケット」の運営、クラウド型公共施設予約管理システム「Spacepad」の提供
会社情報URL:https://spacemarket.co.jp
□ ストラテジーキャンパスとは
当社は主に国内の企業を対象とした、事業創出コンサルティング、実行支援のサービスを提供しており、豊富な知見とネットワークを活かした事業立ち上げ・実行を支援しています。
会社名:株式会社ストラテジーキャンパス
本社所在地:東京都渋谷区神宮前六丁目23番4号 桑野ビル2階
代表者:代表取締役社長 中村 陽二
設立日:2020年9月
会社情報URL:https://strategy-campus.jp/