プログリットが提供する 第二の事業である「シャドテン」は、2020年のコロナ禍という未曾有の危機の中で生まれました。
プログリット副社長の山碕氏が立ち上げたこの事業は、既存リソースを最大限に活用し、わずか2週間でプロトタイプを完成させたスピード感と機動力が特徴です。
本インタビューでは、シャドテンがどのようにして着想され、ローンチされ、拡大していったのか、そしてプログリットが新規事業創出やM&Aに取り組む際の考え方を掘り下げます。
ブランド価値とスピードの両立、プロダクトを軸とした事業拡大の秘訣、さらに企業カルチャーの構築やM&A戦略まで、成長企業ならではの挑戦と学びをお届けします。
PDFファイル URL:http://strategy-campus.jp/topics/wp-content/uploads/2025/02/Interview-article_Proglit.pdf
株式会社プログリット 代表取締役社長 岡田 祥吾氏
−− 本日はよろしくお願いいたします。
プログリットは、国内で英語コーチングサービスとサブスクリプション型の英語学習サービスを展開しておられ、CMなどに本田圭佑さんが登場されているのも印象的ですよね。
お話をお伺いするのをとても楽しみにしていました。
ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
−− まずはじめに、シャドテン※が生まれた経緯を教えていただけますでしょうか。
(※ シャドテン:リスニング力向上のためのシャドーイングに特化した英語学習アプリ)
シャドテンは、コロナ禍の2020年に開発したサービスです。
英語コーチングサービス「プログリット」で成長していましたが、コロナが蔓延するにつれ、売上が減少していました。その状況下で利益を保つために、コストカットとプログリット以外の成長の2軸で打開策を考えていました。
プログリット以外の成長を考えた際に、大きな投資ができなかったため、当時プログリットが持っていたモノから事業として成り立つサービスを考えていました。
多角的に考えていた際、既にプログリットの卒業生向けに提供していたシャドーイングの添削サービスの人気が高かったことに目をつけました。
そこで、それを卒業生以外の方にも提供しようと考えシャドテン事業が生まれました。
−− シャドーイングのサービスは元々卒業生に向けて提供されていたんですね。
では、コロナ禍で利益を保つためのコストカットと新規事業の立ち上げの投資とのバランスはどのように考えられていたのでしょうか。
新規事業を考える際、あまりコストを掛けず、出来る限り既存のリソースを活用して、立ち上げられる事業を考えていました。
シャドテンの立ち上げ当初のプロトタイプは、LINEを活用して、利用者から音声を送ってもらい添削するなど最低限のサービスから立ち上げていました。
当初のサービス内容は今と比べるとチープでしたが、お客様からの満足度は高く、シャドテンの利用者は増え続けニーズの高さを実感していました。
−− プログリットでは、シャドテンやディアトーク(DiaTalk)など複数の事業が立ち上がっていますが、新規事業はどのようなプロセスで起案されているのでしょうか。
新規事業の特段な起案プロセスはなく、思いついた人から直で話を受け、新規事業として行う意義があれば取り組んでいきます。
シャドテンは、副社長の山碕が起案し、ディアトーク(DiaTalk)は、当時プログリットの英語カリキュラムの責任者をしていた者がChat GPTに感銘を受け起案した事業です。
−− アイディアを持っている方が岡田さんに直接提案されているんですね。
では、プログリットで新規事業を考える際にどのような基準や考え方で進められているのでしょうか。
創業当初からシャドテンが生まれた2020年ごろまでは、投資できるリソースが限られていましたので、コストを抑えつつ素早くサービスをローンチし利益を生みながら、事業・サービスをブラッシュアップしていくスタイルでした。
シャドテンを立ち上げた副社長の山碕は、新規事業の着想からモノ(=サービスとして提供できるモノ)にするまでの時間が異常に早く、山碕を筆頭にシャドテンなどの新規事業を立ちあげていました。
−− 今も同じようにコストを抑えつつ、スピーディに新規事業を立ち上げられているのでしょうか。
2021年ごろからプログリットとして企業やブランドが浸透し始め、サービスとしてチープ過ぎるものを提供してしまうと、ブランド価値を棄損してしまう可能性があることを意識し始めました。
そこで、創業当初からのニーズに合ったサービスを素早く提供するというスピリットは継承しつつも、新規事業の方針を初めから驚かせるほど高いクオリティのサービスを提供するという考え方に改めています。
その具体例として、2024年の夏にリリースした「ディアトーク」は着想から1年以上かけてサービスをブラッシュアップしローンチしました。
−− ブランド価値を棄損せず、顧客ニーズに合わせたサービスを素早く提供していくことは難しいですよね。
その中で、サービスのローンチまでの速さとクオリティの高さは、どのようにバランスされているのでしょうか。
ローンチまでの速さと高いサービスクオリティを維持することは難しいです。
少し質問とは異なった切り口の回答になりますが、企業として企業価値を高めることが重要になってくるので、将来の期待値を作りつつも、期待させ過ぎてもいけません。
なので、次の新しい取り組みとして何をやるかを言い過ぎてもダメだし、何も言わずにいるのもダメです。
その新しい取り組み(=サービス)のクオリティと発表・ローンチのタイミングのバランスをいつも悩みながら進めています。
プログリットでは、特定の期間で高いクオリティのサービスをローンチさせるために、今後展開するサービスをIRで発表しています。
そうすることで、いつまでにローンチするかを宣言することで社内をモチベートし、ローンチまでのスピードとサービスのクオリティを維持するようにもしています。
−− シャドテンの起案者は副社長の山碕さんと仰っていましたが、シャドテンを本格的に事業として進めるにあたり、ためらいなどはありましたか。
副社長の山碕から初めて新規事業としてのシャドーイングサービスの話があった時から、事業を始めることや事業を拡大することに特段なためらいはありませんでした。
また、先ほども少しお伝えしましたが、山碕はサービスとしてプロダクトを一定のクオリティにするまでのスピードが異常に速く、シャドテンは着想から初期のサービスローンチまでの期間は2週間程度でした。
なので、事業が拡大するイメージも着きやすかったです。
−− 着想からローンチまで2週間!速いですね。
山碕さんの着想からローンチまでのそのスピード感はいつ身に着けられたのでしょうか。
山碕は元々アイディアをモノ・事業にする力が強かったと思いますが、プログリットを起業し、事業を立ち上げる中で、よりその力が培われていったと考えています。
起業当初は、如何に速くサービスを立ち上げ、顧客に合ったサービスにブラッシュアップしていけるかが重要になってきますので、着想からローンチまでが速い山碕の力がプログリットに与えた影響はとても大きいです。
−− シャドーイングは一人でもできる英語の勉強法だと思いますが、顧客がシャドテンを利用する理由はどのようなところにあるのでしょうか。
シャドーイングに独自に取り組まれている多くの方は、シャドーイングをやりっぱなしになっていて、効率的に身につけられていないと考えています。
英語力の成長速度を加速させるためには、フィードバックが重要です。シャドテンでは、英語のプロが、シャドーイングの音声を聞き、良い点、改善できる点を丁寧にフィードバックしており、お客様はそのフィードバックをもとに翌日の学習に取り組むため、効率的に学習することができます。
また、利用者にとって他の人に自分の声を聞いてもらうことは良い緊張感をもたらし集中力や真剣さが増し、モチベーションの継続にもつながっています。
−− では、どのような観点からシャドテンがサービスとして拡大できると判断されたのでしょうか。
シャドテンはサービスのローンチ後から、利用者数がどんどん増えていったので、UI/UXを改善すればより伸ばしていけると考えていました。
一方、シャドテンと同時期に、スピテン(スピーキングに特化した月額定額制のスピーチ添削サービス)をリリースしたのですが、スピテンの利用者も伸びてはいましたが、シャドテンほどの増加率ではありませんでした。
そこで、リソースを集中するためにも、スピテンはローンチから1年ほどでサービスを終了しシャドテンに注力しました。
−− スピテンがシャドテンほど利用者が増えなかった要因はどのように分析されていますか。
要因は大きく2つあるかと考えています。
1つは、提供するサービスのニーズがシャドーイングほど高くなかったことと考えています。
具体的に、スピテンのサービス内容は、題材を選び、利用者が自分でスピーチの内容を作成し読み上げ、録音したものを添削する内容で、利用者自身でスピーチを作らなければいけませんでした。
その分、利用者の負担も大きく、利用者がモチベーションを維持し、サービスを継続するハードルが結構高かったんです。
要因の2つ目は、私(岡田さん)のサービスに対するコミット度合いです。
副社長の山碕は能動的でシャドテンと同じくらいスピテンに対するコミットが強くありました。
一方、正直私自身が感覚的にスピテンよりもシャドテンの方が顧客に刺さると考えており、私のスピテンへのコミット度合いがあまり高くなかったんです。
その私のコミット度合いの弱さもサービスを拡大できなかった要因と、今となって考えています。
−− なるほど。もし岡田さんのスピテンへのコミット度合いが高かったら、どのようにされていましたか。
もし私のサービスに対するコミット度合いが強かったら、課題にぶつかった時「○○○でダメだったら、△△△にしよう」などと積極的に改善策を考えていたと思います。
一方、当時は課題にぶつかると「やっぱりね」と私の仮説通りの結果として捉えることが多く、粘り強く改善策まで考え切れていなかったことは反省点としてあります。
−− キーマンのコミット度合いは事業に影響してきますよね。
では、シャドテンを拡大するにあたりマーケティングはどのようにされていたのでしょうか。
シャドテンのローンチ当初のメイン顧客はプログリットの卒業生で、一般の方にもより拡大していくために、アフィリやリスティング、Facebook広告などのwebマーケティングを中心に施策を行っていました。
シャドテンのプロダクトの性質上、プログリットのような対面の営業はローンチ当初から今も行っていません。
−− webマーケティング中心なんですね。マーケティングの観点で、シャドテンとプログリットで大きな違いはありますか。
シャドテンはwebマーケティングのみで対面の営業を行わないため、プログリットと違いクロージングのプロセスがないことが、2つのサービスの決定的な違いになっています。
一方、プログリットでもwebマーケティングを行なっているので、シャドテンをローンチしてから初めて取り組んだマーケティング施策はなく、プログリットのwebマーケティングのノウハウやナレッジをそのまま活用できています。
−− シャドテンのマーケティング施策も既存のリソースを活用できているんですね。
では、シャドテンをローンチしてから、プログラムやアプリの設計など新しいチャレンジはありましたか。
プログリットのサービスは、人(=チューター)が全面に出ているので、最終的に人の能力で受注や顧客満足度を伸ばそうと思えばなんとかできます。
一方、シャドテンは、プロダクトが主体となっているので、プログリットのように人の能力で何とかするということができないので、カスタマーサポートなどを拡充し、少しでも顧客接点を広げて満足度などを高める必要があります。
また、プログリットでもプログラムやアプリの設計は行っていたので、マーケティングと同様にサービス設計の観点でも既存のリソースを活かせ特段新しいチャレンジはなかったです。
−− シャドテンの受講生は、シャドーイングを添削する特定の添削者を気に入られて入会されたり継続されたりすることはあるのでしょうか。
シャドーイングの添削者は毎回ランダムに変わりますので特定の添削者を指名して入会されたり継続される利用者の方はいません。
−− 添削者はランダムに対応されているんですね。シャドテンのリテンションの観点で、プログリットと違うことはどのようなことがあるのでしょうか。
シャドテンの顧客のリテンションを高めることは、正直大変で今でも試行錯誤しています。
リテンションを高める取り組みの例としては、LINEを活用し毎日いつでもどこでもカスタマーサポートとコミュニケーションが取れ、何でも質問できるサービスを提供しており、この施策はシャドテンのローンチ当初から満足度が高いです。
なので、少しでも顧客満足度を高めるために、継続してカスタマーサポートのフォローアップ方法の改良にはこだわって取り組んでいます。
−− いずれのサービスでもリテンション高めることは重要で悩ましいポイントの1つですよね。
シャドテンの社内の組織は、どのような組織体制をとられているのでしょうか。
シャドテンの部門はローンチ当初から少し人数は増えていますが、少数な組織体制で推進しています。
ローンチ当初は、副社長の山碕がプログリットの事業部長を担っており、その内職でシャドテンの事業も行っていました。他にシャドテン事業に携わっていた人は山碕の秘書など数名で、全員兼任でしたね。
シャドテンが事業としてスケールするにつれ、アプリ開発のプロダクトマネージャーが1人、マーケティングの担当者が1人ジョインしましたが、今でも極少数で事業を回しています。
−− シャドテン事業のローンチ当初は副社長の山碕さんが内職で回されてたんですね。
シャドテンの成長の転機となる施策はどのようなことがあったのでしょうか。
振り返っても見ても、シャドテンの成長の起点となる施策やイベントは特段ありませんでした。
プログリットの卒業生からシャドーイングの需要があり、卒業生以外のお客様にも価値があることは明確であったので、初めからシャドテンの勝ち筋は見えていました。
なので、途中に色々な試行錯誤はあるものの、粛々とやるべきことを進めて今に至っています。
−− ローンチ前から需要と価値が見えていたのは新規事業として素晴らしいですね。
では、プログリットの卒業生に、シャドテンの前身となるシャドーイングサービスを提供するきっかけはどのようなことがあったのでしょうか。
プログリットのサービスの中でも、シャドーイングサービスが明らかに受講生からの満足度が高かったんです。
加えて、プログリットの卒業生から、安く英語学習を続けたいという要望も沢山いただいておりました。
そこで、社内で検討した結果、満足度が高いシャドーイングに絞り、価格も2万円であれば採算が合うと考え、シャドーイングサービスを個別でも提供するようになりました。
−− 企業の能力は複数の能力が組み合わさって成り立っていると考えおり、その考えを起点にするとプログリットにはどのような能力があるとお考えでしょうか。
プログリットの強みは、組織力と営業力と考えています。
従業員は皆、プログリット内の定まった価値基準で団結していて、そこから出てくる営業力の強さがプログリットの一番の強みと考えています。
企業の経営者として「売上を伸ばす」という考えは当然のことです。
一方「お客様のために仕事をすること」と「売上を伸ばす」という考えは相反する時があります。
その相反する2つのストーリーをつなぐ考え方として、「ミッションを実現するために仕事をする」という少しエモい考え方がプログリットには根付いています。
※ プログリットのミッション:「世界で自由に活躍できる人を増やす」
この考え方や企業カルチャーを構築していくまでは試行錯誤の連続でした。
−− ミッションを起点に、相反する「企業の利益」と「お客様のため」を成り立たせているんですね。
はい、もう少し具体的にお伝えすると、プログリットは3カ月のプログラムを提供していますが、追加で料金をお支払いいただくと3カ月のプログラム期間が終了しても継続できるオプションがあります。
企業の利益の観点で考えると、顧客の継続率やLTVを高めることを優先するかと思います。
一方、お客様のことを考えると、自習するパターン、卒業後もプログリットを続けるパターンなど複数の英語の学習方法が考えられます。
なので、プログリットではミッションを起点に考え、お客様からプログリットにお金を払っていただくことを一度忘れて、お客様の英語力を伸ばすために最適な手段は何かを考えることに徹底しています。
サービス価格の値上げに踏み切る際にも、プログリットの利益が上がることで、サービス開発により投資でき、より良いサービスがお客様に提供できると考えています。
−− ミッションファーストの考えの元、お客様や企業としても良い事業を成り立たせているのは素晴らしいですね。
では、そのミッションをどのように社内に浸透させられたのでしょうか。
私自身創業から事業を推進していくにあたり、売上が全てではないことに何度も気づかされ、より企業や事業を拡大していくためにミッション・バリューを刷新しましたが、ミッションの社内への浸透も試行錯誤の連続で、初めはなかなかうまくいきませんでした。
ミッション・バリューを浸透させる具体的な施策の一例として、プログリットではDNA Bookを作成しています。
DNA Bookは、人によって言葉の解釈が異なるような曖昧な言語をすべて言語化して定義している、プログリットの聖書のようなものです。
−− プログリットのミッション達成に向けた企業カルチャーは、シャドテン事業にどのように活かされているのでしょうか。
シャドテンとプログリットで求められる企業カルチャーは少し異なっています。
シャドテンは成長率・成長速度ともに高いですが、その成長の要因はプログリットのような組織力・営業力ではなく、必要なのはお客様に刺さるプロダクトを作り、リーダーが引っ張っていく力です。
−− シャドテンとプログリットの組織では求められる力も変わってくるんですね。
では、今後どのような企業カルチャーを作られていく想定なのでしょうか。
事業の成長は企業カルチャーに依存する部分が大きいと考えているので、プログリットやシャドテン、ディアトーク、他の新規事業の成長に応じて、柔軟に企業カルチャーも変化していければと思います。
偉大な会社の企業カルチャーを真似れば上手くいくということはなく、事業を含めた自社の今と将来の環境をじっくりと観察しながら一歩ずつ構築していく必要があると思っています。
−− 企業カルチャーは多くの変数から成り立っているので、上手くいっている企業の一部を真似るだけでは成り立たないですよね。その組織環境の中で、岡田さんは社長としてどのような分野に注力されているのでしょうか。
今は私のリソースの多くをM&Aに注いでいます。
事業を拡大していくために、シャドテンやディアトークのようにゼロから自社で事業を作ることもありますが、異なる領域への進出や事業化までのスピード加速することを考えM&Aも検討しています。
M&Aを検討している領域として、英語業界のメインストリームである「英会話レッスン」の領域にプログリットが参入することも可能性として視野に入れるなど、幅広い領域で検討しています。
−− なるほど!もし英会話レッスンの領域に参入するとすれば社内の組織的なコンフリクトが大きいと考えますがいかがでしょうか。
今のまま事業を行えば、間違いなく組織的なコンフリクトが生じると思います。
一方、自分たちのアンチテーゼも取り込めるほどに思想をアップデートすることで、コンフリクトは回避できると考えています。
−− どのような背景からM&Aを本格的に考え始めたのでしょうか。
M&Aを本格的に考え始めたのは上場した時なので、2022年9月ごろからです。
というのも、上場するまでは、自社の事業の伸びが確約できていなかったので、私のリソースを事業に注ぎ込みいっぱいいっぱいでした。
上場後は一定事業が軌道に乗り、私のリソースが空き、M&Aを検討できるようになりました。
−− どのような観点で、M&Aの買収先を検討されているのでしょうか。
理想的には、自社でやりたいけれども、私たちが持っていないケイパビリティを持っている企業が当てはまります。
例えば、To B向けの研修企業は、私たちが持っていない英語以外の研修やコンテンツ作成のノウハウも持っているので、魅力的だと考えています。
また、M&Aの経験がないプログリットの現状を考慮すると、少なくとも利益が出ている企業を買収したいと考えています。
M&Aのリスクや難易度の観点から、利益がちゃんとでている企業は、事業が一定既にうまくいっていて、M&Aのリスクや難易度が比較的低いからです。
−− 英語教育以外の領域も視野に入れられているのはどのような理由からでしょうか。
2019年に社名やミッション、バリューを刷新し、その時からずっと英語教育以外の領域に事業を広げることは考えていました。
ミッション・バリューを考える際、創業当時の英語教育の想いは置いておいて、英語はただのツールとして考え、英語以外も含め「世界で自由に活躍できる人を増やす」と定義しました。
一方、刷新した2019年当時は業績や上場を見据えていたことから、英語教育以外の領域へは参入できていませんでした。
−− M&Aを検討される際、シナジーはどのように考えられているのでしょうか。
現時点ではM&Aによる既存事業とのシナジーは考えないようにしています。
「シナジー」という言葉に期待してしまい、買収先の企業価値を過大評価してしまいがちなことが多いと考えているからです。
なので、シナジーがなくとも円滑なPMIが実現できるM&A案件を探しています。また、新規事業でも、既存事業とのシナジーやカニバリは関係なく検討しています。
別の角度から言うと「一事業として成立するものを作る。」という前提の元、既存事業とのシナジーを考えるようにしています。
−− プログリットの強さの源泉や新規事業の創出、M&Aの考え方、今後の展開など学びが多いインタビューをありがとうございました。引き続きプログリットのさらなる成長を応援させていただきます!
(写真左)プログリット 岡田 祥吾氏、(写真右)ストラテジーキャンパス 中村 陽二氏
□ プログリットとは
「世界で自由に活躍できる人を増やす」をミッションに、本気で英語力を身につけたい方をサポートするサービスを提供。
英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」を主軸とし、サブスクリプション型英語学習サービスも展開しています。
サブスクサービスの現在のラインナップは、リスニング力を上げる「シャドテン(SHADOTEN)」、スピーキング力を上げる「スピフル(SUPIFUL)」、AI英会話「ディアトーク(DiaTalk)」。2022年9月、創業6年で東証グロース市場上場。
会社名: 株式会社プログリット(英語名:PROGRIT Inc.)
所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館ビル5階
代表者:代表取締役社長 岡田祥吾
証券コード:9560
設立日:2016年9月6日
事業内容:英語コーチングサービスの開発・運営、サブスクリプション型英語学習サービスの開発・運営
会社情報URL:https://about.progrit.co.jp/
□ ストラテジーキャンパスとは
当社は主に国内の企業を対象とした、事業創出コンサルティング、実行支援のサービスを提供しており、豊富な知見とネットワークを活かした事業立ち上げ・実行を支援しています。
会社名:株式会社ストラテジーキャンパス
本社所在地:東京都渋谷区神宮前六丁目23番4号 桑野ビル2階
代表者:代表取締役社長 中村 陽二
設立日:2020年9月
会社情報URL:https://strategy-campus.jp/